私の剣幕に、気まずい空気が流れる。
妙な気がした。
二人でいれば、その時間の間中、途切れることなく気まずい空気が流れていると思っていたけど。
いざこんな風に、沈黙が訪れると、さっきまでの二人がひどく自然な関係に思えてくる。
不思議だ。
付き合い始めたばかりの男女は、体の関係を持ったとたん
まるでそれまであった見えない垣根が取り払われたかのように、一気に距離が縮まるけど、
私たちの場合も、そうなのだろうか。
体を重ねただけで、そこに愛はないのに・・・。
「じゃあ、なんで病院に戻ってきた?外来が終わったのは、6時頃だろう?」
沈黙に耐え切れず、口に運んだグラスが、ぴたりと止まる。
「なんで、ご存知なんです?」
仲地は、自分もジョッキを口にしてから、アルコールの入らないその液体を、
おいしそうにごくりと飲んだ。
「今日は、食事に誘おうと思って、外来の前を通ったんだよ」
ケモで呼ばれたついでに、と仲地は言いながら、ジョッキを机の上に置くと、
咎めるような目をして、私を見つめた。

