しばらくは、口の中に食べ物を詰め込む行為に没頭して、
仲地の存在を忘れてしまった。
今日の昼は、早番だったから、よく考えればもう10時間以上食べ物を口にしていない。
しかも、緊張して喉がからからだったので、
オレンジジュースは、それこそどこかのオヤジがビールを飲み干すように、
はぁ~、と声を上げて、あっという間に飲みきった。
私のそんな様子に何かを感じ取ったのだろうか。
仲地が伺うような声音を出す。
「で?何があったんだ?」
「何がって。別に何も」
自分でも、目が泳いだのがわかった。
なんか、仕事だとどんな嘘でも笑顔で話せるのに、
仲地の前だと、どうもうまく嘘がつけない。
Dr.に頼まれて、不在だと嘘をつくなんていつものことだし、
必要のない検査を、いかにも必要ですって顔で説明することは日に何度もある。
「連休中に一人でカルテ庫に忍び入るつもりだった?」
「違います!!」
間髪いれず、否定した。
なんでだろう。
そう思われたほうが、都合がいいような気もするのに。

