こじゃれたレストランにでも連れて行かれるのかと思ったら、
意外にもそこは、和風創作料理がメインの居酒屋だった。
若い人たちの活気であふれる大部屋からは、たくさんの笑い声が漏れてくる。
こんなところ?と一瞬思ったけれど、奥へ進むとそれぞれの部屋が個室のように仕切られていて、
なかなか良い雰囲気の店だ。
「何頼む?」
「先生のお好きなもので」
一定の距離を保とうとする私の態度が気に入らないのか、仲地はふんと鼻を鳴らした。
焼き鳥やから揚げといった定番メニューの中に、
さばの味噌煮や、里芋の煮っ転がしなんて家庭的な料理が並んで、私はごくりとつばを飲み込んだ。
「さて、食うか」
「先生は、飲まなくていいんですか?」
仲地の前に運ばれてきたジョッキは、ウーロンハイではなく、ウーロン茶だ。
「あぁ。俺、今日はオンコールだから。酒は飲めない」
「すみません。そうだったんですね」

