俯いて歩く私。
・・お願い!誰にも気づかれませんように!
クリーム色の床とにらめっこしながら歩く私の視界に、黒い靴が入った。
男物の、革靴。
きちんと磨かれていて、几帳面さを表したような。
すみません、と言いながらも、顔はあげず、その横を通り過ぎようとした。
が。
その靴が、私の行く方向へとついてきて、道をふさがれた。
お互いに道を譲ろうとして、同じ方角に避けたときによくある、あれだ。
仕方なく、私がもう一度動くと、ワンテンポ遅れて、靴が移動した。
--私と同じ方向へ。
わざとだろうか。
すみません、と言って、顔を上げたそこには、
「こんばんは。藤崎さん」
今、一番会いたくない男の笑顔。

