・・あれ?どうしたんだろう。
憩いの我が家について--といってもぼろいマンションだけど--、
鍵を差し込んだのに、錆びて硬くなったように回らない。
・・なんで?
地面にかばんを置き、鍵穴を覗き込んだ。
よくわからないが、壊されたりしたわけではないように思える。
ガチャガチャと、何度も鍵を差し込んだり回したりを繰り返した。
けれど、なぜか、いつも簡単に開くはずの玄関が、
完全に私を見放したように、応答してくれない。
部屋を間違えたのかと思ったが、どうみても、ここは私の部屋だ。
次第に焦り始めた私は、急に地面に置いた鞄がぶるぶると動き出して、驚いた。
それは、着信があった事を示すメールの音だった。
電車に乗っていたせいで、着信に気づかなかったんだろう。
留守電が入っていた。
地獄の底の、更なる地獄への招待状。

