カルテを持っていくと、鈴木は、外来の空き机に、顔をうつぶせていた。
「先生、カルテですよ」
「あ・・ありがとうございます」
鈴木は、うつろな目でカルテを受け取ると、そのまま病棟へと帰っていった。
自分の薬は自分で処方できない決まりなので、
というか、まだまだ薬の名前を覚えていなくて、
何を出せばいいかわかってないんだろう。
鈴木は、おそらく指導医に処方を頼みに行った。
妖しげな処方になりそうな予感。
「いいよね~。先生たちはいくら薬飲んでもただなんだからさ」
里佳子が、彼の丸まった背中に追い討ちをかける。
ま、聞こえてないだろうけど。
「あれ、もうだめだね」
里佳子は、仕事の手を休めることなく、つぶやいた。
同感だ。
あれは、つぶれる。

