ウルフな彼


なによ!

オウガは人間の女なら
誰でも良かったんだ!


たまたまあたしが
森に入ってきたから
連れてきただけで…



じっと見つめたのも

キスしたのも


全部あたしを
集落まで連れてくためで


集落に着いたら
もう問題はないから
冷たくなったのかな…。





「あッ!!」



道端の石につまずいて
派手に転んでしまった。





…立てない。





「うッ…悔しい…!」



気づけばあたしの頬には
滝のように涙が
こぼれていた。





「なんでッ…
なんで泣くのよ…。
あたし…」