「…はあっ」 やっと離れた唇。 肩で息をしながら 座り込むあたしに 上から声をかけるやつ。 「どう?わかった?」 「意味わかんない。 だいたいこんなこと されたって 狼人間かなんて わかんないでしょ」 「わかんだろ普通。 においとか…」 「なんなのあんた! 何考えてんのよ!」 あたしの怒鳴り声と 一緒に強い風がふいた。 その風でオウガの 頭から帽子が落ちる。 「うそ…」