「だって俺、好きな人居ますもん」

「それより咲帆、ちょっと話せない?」


さっきまで黙っていたよーちゃんが、リョウくんの会話を遮った。


それにムカついたのか、リョウくんはよーちゃんを軽く睨み、あたしの腕を掴んだ。



「…え?」

「先輩は俺と話しましょうよ」


リョウくんは真面目な顔であたしの腕を引っ張った。



「わっ」


1年にしては大きいリョウくんの胸の中にあたしの頭は収まった。


頭の中が真っ白なあたしとは対照的に、

中沢は普通にあたしたちを見ていた。