「次やったらトイレ掃除だからな」


職員室の前に着くと先生は振り返って、それだけを言って紙を中沢に返した。

そして、職員室のドアを開けた。


「え?」

「それだけ?」


あたしも中沢も、不満…というか驚きの声を出した。



「あ?もっと怒って欲しいわけ?」


もっと、“そんなに俺の授業がつまんないか?”とか“中沢は、俺に嫉妬してるくらいなら勉強しろよ”みたいに怒るかと思った。


…まぁ、そんなに怒るようなことでもないか


「いえっ、失礼しまーす」

「じゃあね、先生」


怒られたいわけじゃないかったから、“ラッキー”くらいに思って退散した。