教室に入る前に時間を確認すると11時を回っていて、さすがにヤバイと思った。


静かにドアを開けて、自分の席に座った。


すると、先生があたしの隣に来て、仁王立ちをしていた。


「何で遅刻したんだ?」

「別に……寝坊しただけ」

「寝坊?ははっ、嘘でしょ」


聞き覚えのある担任の声とは少し違うことに気がつき、顔をあげた。


「ね?坂本アミちゃん?」

「か…っ、川瀬――」


やっぱり、朝電車で逢った、川瀬潤がそこに居た。


「名前、覚えててくれたんだー」


川瀬は意地悪に微笑んだ。