一方、苗場は

母一人、子一人の

母子家庭で育ち

小さい頃から苦労して

育ててくれた母を

早く楽にさせてやりたくて

国立の大学に入り

ここまで登り詰めた秀才。

大学教授だった固粒の父に似て

性格も実直で部下思い。

今度声がかかった

都市開発のプロジェクトチームにも

並々ならぬ思い入れを持っていた。

部長直々のご指名だったので

絶対に失敗する訳には

いかなかった。

この開発の成功が

会社と自分の将来を決める

といっても過言じゃなかった。

そのため自ら進んで

今度のパリ行きも志願した。

あちらの街並みを視察し

パリ支店の協力を得るべく

重要な使者である。