いつになく気弱に

神妙な面持ちの親父の頼みを

聞かざるを得なかった。

葵は素直に従った。


<俺に兄貴が・・・?

生来孤独だった俺に

血の繋がった兄貴が?

俺は兄貴を傷つけたのか・・?>


疑問も解けないまま

大それた事をしでかした事を

初めて知った。


親父の目は揺るがなかった。

それが葵にはたまらなく

不安だった。


ここまで育ててくれた親父に

恩返しをしたくて

バカなことをしてしまった。


麻酔の効いてゆく頭は

覚醒状態を流してゆく・・・


そして眠りについた。

これが俺にできる親孝行ならば・・・

やるしかない!