「わかりますとも・・・

貴方にも迷惑をかけ、

ここまで尽くしてもらって

その影で泣いていた葵を

怨むわけがないじゃない?

幼くしてお母さんを失った

葵の寂しさや辛さは

誠也さんと私の責任でもあります」


その時、病室に看護士が

駆け込んできた。


「間宮さん!

今連絡が入りまして

血液が合ったそうです。

すぐに戻ってください!」


二人は手を取り合って

顔を見合わせた。


「貴方、行ってやってください。

光は悪運の強い子です。

貴方にそっくり。

だからきっと大丈夫!」


「よし。行ってくる。

成功を祈っていてくれ」


そう言って美恵子の手を

強く握り締めた。


美恵子は夫を見送りながら

胸の上で十字を切った。