【詩集】吟遊詩人になる前に

卒業式のあと

三年間通った

川沿いの道を

一人で帰る

放課後の

ガランとした教室

ガラス戸の中の

フラスコやビーカーが

キラキラしてた理科室

白いカーテンが

光と風に透ける図書室

何もしゃべらない

胸像が置かれた美術室

思い出すのは

いつか錆びついてしまう

そんな風景ばかりだ

三月が去り

桜が咲く頃には

私は

この街をはなれる

いつか大人になって

お酒の味とか

わかるようになれば

割り切れなかった感情や

確かめられなかった気持ち
に

決着はつくのかな

でも今は

そんな先のことは

どうでもいいから

私は

歩いてく

自分の足で

歩いてく

この街を卒業して

私は

一人で歩いてく