振り返ると
赤馬は驚いた表情で
私を見つめていた。



私は、慌てて
その場から立ち去ろうと
走った。



けれど赤馬は
私の腕を掴み力強く
抱き寄せた。



「鏡花…
行かないでくれ。」


ずっと思っていた
胸に抱かれ
閉じ込めた思いが
溢れそうになる。



「赤馬…駄目だよ。
だって私は赤馬を
裏切ったんだから…。」