蝶々結び

「みっちゃん♪」


「七星ちゃん、ほんまに久しぶりやねぇ。また別嬪(ベッピン)さんになって!」


みっちゃんはそう言って、あたしをギュッと抱き締めた。


「そんな事ないよー!みっちゃん、苦しいってば!」


「こら、七星。光子さんに向かって“みっちゃん”なんて……」


母が口を挟むと、みっちゃんが不満そうな顔をした。


「嫌やわ、なっちゃん。“光子さん”なんて呼ばんといてぇな!うちを呼ぶ時は、“みっちゃん”やで!」


みっちゃんはあたしの祖母と同い年なのに、『みっちゃん』って呼ばないと怒る。


みっちゃんにはあたしと同い年の孫がいるんだけど、その子にも『みっちゃん』って呼ばせているんだ。


すごく優しくてお茶目で、おもしろいおばあちゃんで…


あたしは幼い頃からみっちゃんの事が大好きで、田舎に来る度によく遊んで貰っていた。