蝶々結び

「なら、イイけど……。あっ、須藤も田舎に帰るんだろ?お前の田舎ってどこ?」


「あたしの田舎じゃないですよ」


「別にどっちでもイイよ!」


上杉先生の言葉で、優子を思い出した。


二人が同じような事を言ったのが、少しだけ可笑しかった。


「関西の奥の方ですけど……」


「ふ〜ん……。周りに何かある?」


「辺り一面、畑ばっかりです!後は、川とか……。どうしてそんな事訊くんですか?」


「いや、俺も実家に帰ったら、そのまま田舎行くから……。もしかして近かったりして、とか思っただけだよ」


「家が近いだけでもビックリしたのに、田舎まで近かったらすごいミラクルですよ?」


クスッと笑ったあたしを見ながら、上杉先生がフッと口元を緩めた。


「世間は案外狭いぜ?」


もしそうだったら、本当にすごいのにな……