蝶々結び

「そういえば、どうしてあたしだったんですか?他の人でも、きっと助けてくれましたよ」


笑い過ぎて瞳に浮かんだ涙を指で拭いながら、上杉先生を見た。


「あ〜、須藤が一番口実作り易かったから……。後……」


先生はそこまで言って、言葉を飲み込んだ。


「後?」


数秒の沈黙が訪れて、すかさず続きを促した。


「俺に興味がなさそうだから!」


「え……?」


予想もしていなかった言葉に、あたしの胸の奥がチクリと痛んだ。


別に嫌な事を言われたり、傷付けられた訳じゃないのに…


上杉先生の言葉に、何故か動揺してしまった。


「須藤……?どうした?」


先生に下から顔を覗き込まれて、慌てて一歩下がった。


「いえっ……!何でもないです!」


咄嗟にそう答えたけど、何だか上手く笑えない。