蝶々結び

「思い出し笑い?」


ジュースを飲んでいた優子が、不意にニヤニヤと笑いながらそんな事を訊いて来た。


「えっ?違うよっ!!」


「七星はすぐムキになるね♪」


「そんな事ないよ……」


いつの間にか、優子に主導権を握られている。


「ねっ!夏休みも遊ぼうよ♪」


「あっ、ごめんね。夏休みは……」


「忙しい?それとも彼氏!?」


「ちっ、違うよっ!!夏休みは毎年田舎に行くの!ずっと向こうにいるから、遊べないんだ……」


「そっか〜……。でも、今時ずっとなんて珍しいね!」


「うん……。夏休みも、優子と遊びたかったな……」


ため息をついたあたしは、小さく呟いた。


「大丈夫♪今日は夏休みの分まで遊ぶから♪」


優子は満面に笑みを浮かべ、あたしを見た。