蝶々結び

「男の俺から見てもカッコええと思う良兄やったら、文句の付けようもないしな……」


創太は、外で電話をしている上杉先生をチラッと見た。


「七星……」


そして、あたしの名前を優しく呼んでから話を続けた。


「もう、良兄と離れんなよ」


「創太……」


やっと言葉を発したあたしの喉が、何だかすごく熱い。


「良兄とお前は、俺が認めた二人やねんからな。別れたりしたら絶対に許さんで」


創太の顔が、少しずつぼやけていく。


彼の言葉が優しくて嬉しいのに、胸の奥が痛む。


こんな風に言える創太は、一体どこまで優しいんだろう…。


あたしなら、きっと嘘でもこんな言葉は言えない。


あたしの事を好きになってくれた人は、意地悪だけど本当に優しくて…


何よりも、呆れるくらいのお人好しだ…。