蝶々結び

「うわっ!!またブッサイクな顔してるし!」


いつもと変わらない創太の憎まれ口ですら、今は優しく感じてしまう。


きっと気まずい空気にしない為にそう言ってくれた彼には、やっぱり感謝の気持ちしか芽生えない。


だから、あたしもいつもと同じように返す。


「煩い!」


「お前、そんな顔ばっかりしてたらそのうち癖になるで?ブッサイクな顔が癖になったら、良兄が可哀相やろ」


「もうっ!!そんな言い方しなくてもイイでしょ!」


「はいはい」


「何か、ムカつくんだけど……」


あしらうように言った創太を見ながら零した言葉は、やっぱり憎まれ口でしか無かったけど…


楽しそうに笑っていた彼には、あたしの気持ちがちゃんと伝わっているんだと思えた。


隣にいる上杉先生は、そんなあたし達のやり取りを優しい笑顔で見ていた。