何だか落ち着かなかったせいで、上杉先生に話し掛けられてもあまり会話が成立しなかったけど…


先生はそんなあたしの気持ちを察してくれていたのか、他愛のない話を続けてくれた。


そのお陰で、あたしを包んでいた緊張が徐々に和らいで、少しずつ笑えるようになっていった。


そして…


カップに入っているミルクティーの残りが半分程になった頃、店のドアが開いて外の空気と一緒に創太が入って来た。


声を掛けようとしたけど、先にあたし達に気付いた彼が足早にテーブルまで来た。


「ごめん!」


開口一番そう言った創太は、あたしと上杉先生を交互に見てフッと笑った。


いつもと変わらない彼の笑顔を見て、少しだけホッとする。


「引っ越したばっかりで忙しいのに、わざわざ悪かったな……」


上杉先生が申し訳なさそうに言うと、創太は笑顔で応えた。