蝶々結び

すぐにガチャッと鍵が開く音がしたかと思うと、勢いよくドアが開いた。


「創太、遅いっ……!……えっ!?」


中から出て来た人と顔を合わせた瞬間、お互いに驚きを隠せないまま目を見開いて、その場に立ち尽くしてしまった。


どうして……?


そう訊きたいのに、上手く声が出ない。


だって……


「お前……どうして……?」


「創太が……っ……!」


ねぇ……


創太の卒業祝いって、この事だったの……?


「先生ぇ……っ!」


あたしは、まだ驚きを隠せないままの上杉先生に抱き着いた。


これは、夢……?


真実を確かめるように、先生の体をギュッと抱き締める。


やっと会えた……


「七星、ごめん……」


そう言って背中に手を回してくれた上杉先生の腕が、ほんの少しだけ震えていた。