蝶々結び

創太に貰ったメモを頼りに、自分で調べた行き方を思い出した。


メモに書いてある住所の場所に行くには、家の最寄り駅から電車を使っても1時間は掛かる。


家に帰って着替えてから行こうかとも思ったけど、帰りの時間を考えて直接行く事にした。


渡したい物って何だろ……


一昨日からそればかりが気になって、昨日の夜に創太に電話を掛けて訊いてみたけど、彼は何も教えてくれなかった。


それに、さっきも電話をしたのに出ない。


本当に何考えてるんだろ……


頭を悩ませていたあたしは、小さな不安に包まれながら携帯を開いた。


今日も、発信履歴には上杉先生の名前がある。


あたしも懲りないな……


自分でも呆れるくらいの諦めの悪さに、嫌気が差してため息が漏れる。


それでも電車に揺られながら考えているのは、上杉先生の事ばかりだった。