蝶々結び

「七星、写真撮ろうよ♪」


教室や校舎、校庭の至る所で何枚もの写真を撮ったのに、優子はまたデジカメを取り出した。


「まだ撮るの?」


「もっちろん♪」


ピースをした優子に少しだけ呆れた笑みを見せながらも、彼女に言われるがまま写真を撮っていく。


「これからどうする?ご飯でも食べに行く?」


「ごめん、約束があるから……」


デジカメを片付けながら訊いた優子にそう答えると、彼女は満面に笑みを浮かべた。


「もしかして上杉先生!?」


「えっ……?」


優子の言葉に驚いて目を見開いたあたしは、すぐに小さく笑って首を横に振った。


「そっか……。ごめんね……」


「ううん!じゃあ、行くね!また連絡してね!」


「うん!」


優子に心配を掛けないように、笑顔で踵を返した。