蝶々結び

「今日は代理。生徒会顧問の中田(ナカタ)先生が出張なんだとよ」


上杉先生は、あたしの顔をじっと見た。


「何ですか?」


憂鬱なあたしは、不機嫌な声で訊きながら机の上にバッグをドサッと置いた。


「何か怒ってる?」


「いえ、別に……」


「でも、不機嫌だろ?」


「いつもこんな感じです」


「ふ〜ん……。勿体ねぇの」


「何がですか?」


「別に……」


上杉先生は不機嫌そうな声で答えて、そっぽを向いた。


この人は何なのよっ……!


何だか憂鬱を通り越して、イライラして来る。


「ムカツクだろ?」


「はぁ!?」


苛立ちながら声を荒げると、上杉先生がニッと笑った。


「お前の真似♪」


「どこがですか!?」


上杉先生の言葉に、つい強い口調で反論してしまった。