蝶々結び

教室に行くと、先に学校に来ていた優子が駆け寄って来た。


「おはよう、七星♪もうすぐ卒業式始まるよ!」


「おはよ!皆、廊下に集まり始めたみたいだね」


あたしも優子と一緒に廊下に出て、出席番号順に並んだ。


出席番号が前後のあたし達は、卒業式の間は席が隣同士。


「あたしが泣いたら、七星が慰めてね♪」


優子は、悪戯な笑みを浮かべながらあたしを見た。


あたしは小さく笑って頷き、他の子達と一緒に体育館に向かった。


入学式とは違って何度か予行練習をしている卒業式は、毎年スムーズに進行する。


式が始まるとしんみりとした空気が流れ、終盤に差し掛かると泣いている子もいたけど、あたしと優子は泣かなかった。


それどころか…


式の終盤からは手を繋ぎ、たまにお互いの顔を見ては笑みを向け合っていた。