蝶々結び

学校に着くと、真っ先にあの桜の木の下に向かった。


「先生……」


あの日、先生はこの木の後ろで眠ってたよね……


高校なんて、ただの通過点だと思っていた。


優等生のレッテルを張られていた上、自分の気持ちを告げる事が苦手で周りの子達と上手く付き合えず、楽しくなかった日々…。


だけど…


優子と出会って、あたしの事を“親友”だと言ってくれて、すごく嬉しかった。


そして…


上杉先生に恋をした。


何度も何度も、先生への気持ちを押し殺す努力をした。


自分の気持ちを偽って、逃げ出した。


それでも、やっぱり上杉先生への気持ちを消す事なんて出来なくて…。


ねぇ、先生……


あたし達は、やっぱり間違ってたのかな……


「ねぇ、先生……。今、どこにいるの……?」


会いたいよ……