蝶々結び

それから二日後の、卒業式の朝。


「今日で最後だね……」


鏡の前に立ったあたしは、着慣れた制服に身を包んだ自分を見ながら小さく呟いた。


リビングに行くと、両親が笑顔であたしを見た。


「七星の制服姿を見れるのも、今日が最後か……」


「寂しくなるわね……」


しんみりと呟いた父に共感するように、母も相槌を打った。


「じゃあ、先に行ってるね」


「お母さんは、式が始まる前までに行くから」


そう言った母に頷いた後、笑顔を残して家を出た。


学校までの道。


いつもと変わらない風景。


いつもと違うのは、今日が卒業式だと言う事。


ただ、高校を卒業するだけ…。


それ以外は、何も変わらないハズなのに…。


寂しさに押し潰されてしまいそうなのは、どうしてなのかな……