蝶々結び

「卒業式が終わったら、その足でそこに書いてる場所に来い!祝ったるから!」


「はぁ!?」


あたしは、思わず眉をしかめて声を上げた。


祝ったる、って……


意味がわからないまま、とりあえず紙を開く。


「お前が来るまで待ってるから、早く来いよ!」


笑顔でそう言った創太に、心底呆れてしまった。


「てか、これどこ!?」


紙には住所らしき物が書いてあるだけで、行き方や詳しい場所等の肝心な事は何一つ書いていない。


「俺の新居♪」


「はい?」


創太が言葉を発する度に、呆れる事しか出来ない。


春から専門学校に通う彼が一人暮らしをする事は知っているけど、あたしがそこに行く意味がわからない。


創太は納得がいかないままのあたしの頭を撫でると、あたしを真っ直ぐ見つめて口を開いた。