蝶々結び

「……せっ!!七星っ……!」


え……?


今、呼ばれた……?


あたしは、窓から身を乗り出して後ろを見た。


「七星っ!!」


「創太!」


すると、創太が自転車を漕ぎながらあたしを呼んでいた。


「創太、何しとったん!?」


彼はそう訊いたみっちゃんには何も答えずに自転車を転がし、あたしの元へと来た。


「もう帰るから……」


訊きたい事は色々あったけど、時間が無い事をわかっていたから一先ずそれだけ言った。


「七星、これ……」


すると、創太がポケットから紙切れを出した。


「何?」


不思議に思いながらそれを受け取ると、彼がニッと笑って口を開いた。


「卒業祝いや♪」


「卒業祝い……?」


思わず眉を寄せ、小首を傾げながら小さく訊き返した。