蝶々結び

「キュ……」


鳴き声に気付いて下を見ると、昨日のイルカが目の前で泳いでいた。


あたしはその場にしゃがみ込み、イルカをじっと見つめた。


「ここにいて、幸せ……?」


イルカは、あたしの前で楽しそうに泳いでいる。


「一人ぼっちで寂しくない……?」


人間の言葉なんてわかるハズも無いのに、どうしてこんな事を訊いているんだろう…。


「あたし……一人ぼっち、にっ……なっ、っ……」


声にならない言葉。


ポタポタと流れ落ちる涙。


寂しさを掻き立てる波の音。


その全てが、あたしを益々泣かせた。


「せんっ……せ……ぇっ……!」


あたしはどうして泣いてるの……?


寂しいから……?


ツライから……?


違う……


“先生がいないから”だよ……