蝶々結び

ふと先の方を見ると、海の中に囲いのような物が見えた。


「暗くてよく見えないけど、誰か泳いでるのかな?」


優子も、あたしと同じ場所を見ながら小首を傾げた。


「行ってみる?」


そう尋ねた後、笑顔で頷いた彼女と一緒に小走りでそこへ向かった。


誰かが泳いでいるように見えたのに、囲いの中は静かだった。


不思議に思いながら、その中を覗き込むと…


「「キャッ……!」」


急に水飛沫(シブキ)が上がって、あたし達は同時に声を上げた。


「キュー……」


キュー……?


鳴き声のような不思議な音に戸惑って、眉を寄せた瞬間…


「「あっ!」」


あたし達は、海の中にいる生き物を視界に捉えて顔を見合わせた。


「すごいねっ♪」


興奮を隠し切れない優子に、あたしも笑顔で頷いた。