蝶々結び

学校に着くと、まだ誰も来ていなかった。


まだバスも到着していないし、先生もいない。


だけど、集合場所は校門だから、外で待つしか無かった。


「はぁ……」


ため息にも似つかわしい息を何度も吐いて、宙に浮く白い息を見つめていた。


寒空の下に一人でいると、寒さよりも寂しさを感じる。


ふと携帯を開いて、発信履歴を見つめた。


【上杉先生】


発信履歴には、上杉先生の名前ばかり。


まだ信じられないあたしは、あの日から何度も先生に電話を掛けているけど…


何度掛けても、スピーカーから流れるのは同じアナウンスばかり…。


もう繋がらない事はわかっているのに、まだ消せない番号に胸の奥が酷く痛む。


ため息をつきながら、携帯をポケットに押し込んだ。


もう……


諦めるしかないのかな……