あたしの心には、ポッカリと穴が空いていた。


心がこんなにも空虚を感じる事が出来るなんて、知らなかった。


誰かを失う事がこんなにも辛いなんて、知らなかった。


そんな風に上杉先生の事を想って、泣いてしまいそうになった時…


「七星♪」


タイミングを見計らったかのように、優子があたしの元に来た。


彼女にバレないように微かに浮かんだ涙を拭って、慌てて笑顔を見せる。


「……どうしたの?」


そう訊くと、一瞬だけ悲しげに微笑んだ優子が口を開いた。


「修学旅行の間は、二人で行動しようよ♪」


「えっ?」


「大勢だと疲れちゃうけど、二人だと自由に行動出来るし!」


笑顔の優子があたしの事を気遣かってくれているんだと、すぐにわかった。


あたしは小さく笑って、無言のまま頷いた。