どうして……?


そんな疑問を心の中で呟きながら、手紙を読み終わったあたしの脳裏には上杉先生の優しい笑顔が浮かんでいた。


初めて会った日、授業中、田舎で過ごした日々、生徒会室での時間、デートをした夏休み…。


こんな時なのに…


何故か、思い出すのは上杉先生の笑顔ばかり。


だけど…


「……っ!」


溢れ出す涙のせいで何もかもがぼやけていって、優しい思い出すらも見えなくなっていく。


あたしの瞳に映る世界が一瞬で歪んで、悲しみの雫の欠片(カケラ)がポタリと落ちた。


「……ふっ……くっ!」


先生……


先生……


先生っ……!


「……ぅ……っ……ふぇっ……!……くっ……!」


何もかもが悲しみと苦しみに覆われてしまったあたしは、気が付くと声を上げて泣き出していた。