蝶々結び

緊張しながら教室のドアを開けると、まだ誰もいなかった。


ホッとしながら机にバッグを置いて、椅子に腰掛ける。


逃げないと決めたけど…


正直、不安な気持ちはあるし、すごく恐い。


大丈夫……


自分自身に何度もそう言い聞かせて、さっきの上杉先生の笑顔を思い出した。


少しずつだけど、心が落ち着いて不安が消えていく。


「七星……」


不意に名前を呼ばれて、声がしたドアの方を見た。


「優子……」


視線の先にいた優子との間に、気まずい空気が流れる。


伝えたい事はたくさんあるけど、何を言っても言い訳にしかならないような気がして…


「おはよう!」


あたしは、明るく言って笑顔を向けた。


だけど…


上手く笑えていなかったのか、優子は困惑した表情のまま視線を逸らした。