蝶々結び

「わかった……」


母は一呼吸置いてから呟いて、ニッコリと微笑んだ。


「七星がそう思うなら、自分の思うようにしなさい」


「お母さん……怒らないの……?」


母は、驚いているあたしの頭をポンポンと叩いた。


「恋をするのはとてもいい事よ。だから、自分が後悔しないように頑張りなさい!」


そう言った母が、満面の笑みであたしを見た。


「ありがとうっ……!」


胸の奥が熱くなったあたしの瞳には、涙が浮かんでいる。


「お父さんとお母さんも、大恋愛だったんだから!」


照れ臭そうに付け加えた母が可笑しくて、小さく吹き出すと…


母もそんなあたしを見て笑い出し、あたし達は顔を見合わせて笑った。


母がこんな風に理解してくれるなんて思ってもみなかったけど、ただただ感謝の気持ちでいっぱいだった。