蝶々結び

「おかえり……」


家に帰ると、心配そうな面持ちの母が玄関に立っていた。


「ただいま……」


何から話せばいいのかわからなくて、それだけ言って黙り込んでしまった。


すると、母がリビングに入りなさい、と目配せをした。


あたしは、促されるままリビングに入ってソファーに腰掛け、母からの言葉を待った。


しばらく黙っていた母は、小さく深呼吸をしてからゆっくりと口を開いた。


「担任の先生から連絡があったよ……」


「うん……」


小さく頷くと、一呼吸置いた母が戸惑いを見せながら口を開いた。


「上杉先生と……付き合ってるって……」


あたしは深呼吸をしてから、重い口を開いた。


「うん……。少し前から付き合ってる……」


母は驚きを隠せないと言うような表情を見せ、大きなため息をついた。