蝶々結び

「そうだよ」


たった一言だったけど、真剣な眼差しでキッパリと答えた。


尋ねて来た男子は、呆気に取られたような表情をしている。


きっと、あたしが肯定するなんて思ってもみなかったんだろう。


あたしは、そのまま何も言わずに教室を後にした。


「七星っ!!」


教室を出てすぐに呼び止められ、ゆっくりと振り返った。


「優子……」


あたしの視線の先に立っている優子は、今にも泣き出してしまいそうな顔をしている。


「七星……」


「ごめんね……」


悲しみの波に飲み込まれてしまいそうになりながらも、出来るだけの笑顔を作ってそう零した。


自分でも、どうして優子に謝ったのかわからなかった。


だけど…


優子の顔を見ていたら、あたしの口からは自然とその言葉が零れていたんだ…。