蝶々結び

一瞬、教室が静まり返った。


だけど…


すぐに、あちこちからクスクスと笑い声が聞こえて来た。


「やめなよ〜!」


「可哀相じゃん!」


嘘つき……


アンタ達だって、知りたがってるくせに……


「俺は、皆が気になってる事を代表して訊いてやってるんじゃん!」


コソコソと言う女子なんかより、堂々と訊いて来るその男子の方がよっぽど気持ち良く思えた。


好奇の目であたしを見ながら、見下すような笑顔を向けられて…


クスクスと聞こえて来る笑い声が、あたしの中の何かを刺激する。


優子だけは、悲しそうな表情であたしを見つめていた。


「で、どうなんだよ?」


答えを促した男子は、周りの男子達とふざけたように笑い始めた。


唇を噛み締めていたあたしは、その男子を真っ直ぐ見つめながら口を開いた。