蝶々結び

「先生方は、あたしが上杉先生と付き合っていると言うバカげた噂を、信じておられるのでしょうか？」


あたしは校長先生の目を見ながら、落ち着いた口調で話した。


「現にそんな噂が流れているのだからね。根拠もなく、噂が流れるとは思えないのだよ」


校長先生の言葉に、呆れたように眉を寄せた。


「心外です」


「どういう意味だね？」


「上杉先生は昨年、あたしの担任でした。更に、上杉先生は生徒会の顧問にもなっていましたし、生徒会に所属していたあたしと接する機会は、他の生徒達よりも多かったハズです。それが、噂の対象になっただけなのではないでしょうか？」


黙り込んだ先生達に構わず、更に口を開く。


「あたしは今までに一度も校則を破った事はありませんし、ましてや先生と付き合うなんて考えた事もありません」


この言葉を最後に、しばらくの間沈黙が続いた。