蝶々結び

「君は、推薦で大学に合格したそうだね?」


さっきまでとは違い、校長先生の口調が厳しい物に変わった。


それから、校長先生は弱みを握っていると言わんばかりにフッと笑った。


「このままだと、退学だけでは済まないかもしれない。下手をすれば、推薦入学を取り消す事になってしまうが……」


どうして……?


どうして、話がそこまで飛躍するのよ……?


まずは謹慎とか停学とか、違う方法があるでしょう……?


明らかに脅されているとも言える言葉に、唇を噛み締めた。


例えば、あたしが強気でいられたとしても、きっと上杉先生は違う。


あたしの進学を取り消されない為なら、きっと自分を犠牲にする。


働かない頭でも、そのくらいの事はわかる。


それだけは絶対に嫌っ……!


そう思ったあたしは、最後の切り札として最高の優等生を演じ始めた。