蝶々結び

「君と……上杉先生が付き合っていると言う噂が、あちこちで流れているようなのだが……。どうなんだね?」


校長先生は穏やかな口調で話しながらも、厳しい表情を崩そうとはしない。


「いえ……。ただの噂です……」


震えそうな声に気付かれないように、出来るだけ冷静な口調で答えた。


「嘘をつくなっ!!」


今度は担任に怒鳴られ、あたしの体がまた強張ってしまった。


その場から動けなくなったあたしは、今にも零れてしまいそうな涙を堪えるだけで精一杯だった。


早く解放されたいっ……!


だけど、どうすればイイの……?


疑われているのなら、どんなに否定の言葉を並べたとしても、あたしの言葉は信じて貰えない。


そして、もちろん上杉先生の言葉も同じ…。


何とか冷静さを取り戻そうとしつつ、必死に頭を働かせていた。