蝶々結び

上杉先生は、ケラケラと笑った。


「当たり前だろ！？てか、お前が卒業したら、俺はもう先生じゃねぇし！」


「そっか……」


卒業か……


まだまだ先の事だと思っていたけど、今はもう１１月。


もうすぐ冬休みだし、三学期に入ればあっという間に卒業式がある。


受験を終えたあたしは、卒業式が待ち遠しかった。


優子と離れるのは寂しいけど、卒業すればもう上杉先生の生徒じゃない。


そうなれば先生と堂々とデートが出来るし、周りの目を気にする必要も無くなる。


卒業したら、普通のカップルみたいに街中で先生と手を繋いで歩けるんだよね！？


そう思うと嬉しくて、自然と心が弾んでいた。


この時…


幸せいっぱいだったあたしは、周りの変化に気付かずに勝手な未来予想図を描きながら浮かれ過ぎていたんだ…。