蝶々結び

「ごめん、七星!」


テーブルに戻って来た優子は、いきなりそう言った。


「えっ……?何が?」


あたしが小首を傾げると、彼女は顔の前で手を合わせた。


「彼氏がバイト休み貰えたんだって!一緒に休める日って、滅多にないの!だからお願い!行ってもイイ!?」


必死で話す優子が可愛くて、思わずクスッと笑ってしまう。


「イイよ!せっかくだから、彼氏さんと楽しんで来てね♪」


バッグを持って、彼女と一緒にレジに向かった。


「今日は奢るよ!」


優子はそう言って、二人分の会計を済ませた。


「でも……」


「イイって!あたしが自己中な事言ったんだから!ね?」


ペロッと舌を出した優子が、笑顔を見せた。


「じゃあ、お言葉に甘えて……。ありがとう」


あたし達はファミレスを出て、そのまま別れた。