蝶々結び

一学期の終業式の日。


あたしは、生徒会の用事で生徒会室に残っていた。


「あれ?お前だけ?」


後から生徒会室に入って来た上杉先生は、不思議そうに訊いた。


「皆は後で来ます」


「そっか。あのさ、明日から夏休みだし、どっか行くか?」


「えっ!?」


予想外の言葉に驚いて、思わず持っていた資料を床に落としてしまった。


「あっ……!」


「あ〜ぁ……」


あたしは、慌てて拾う上杉先生の横にゆっくりとしゃがみ込んだ。


「今、夏休みって……」


「あぁ、どっか行く?」


「イイんですかっ!?」


「近場だと誰に見られる可能性があるから無理だけど、ちょっと遠くまで行けば大丈夫だろ?」


「行きますっ!!」


即答したあたしは、あまりにも嬉しくて、ずっと顔が緩みっ放しだった。