蝶々結び

あたしと上杉先生は、順調に付き合っていた。


最初は浮かれ過ぎて学校でもソワソワしていたあたしは、何度も先生に注意されていたけど…


夏休みに入る頃には、すっかり落ち着いていた。


「夏休み、何か予定とかある？」


「ある訳ないじゃないですか！あたしは受験生ですよ？嫌味にしか聞こえません……」


電話の向こうでそう訊いた上杉先生に、あたしは憎まれ口を叩いた。


「そんな事わかってるよ！」


「じゃあ、訊かないで下さい！あたしはこれでも必死に頑張ってるんですから！」


拗ねながら言って、小さなため息をついた。


推薦を狙っているあたしは、毎日必死に勉強をしていた。


理由は、有名大学に進学したいと言うのはもちろん…


推薦なら１０月には入試だから、合格すればいち早く受験生を脱出する事が出来るから…。