蝶々結び

「須藤……。ごめんな……」


ほらね……


こんな時だけ、あたしの勘は当たるんだ……


あたしは振り返る勇気も無くて、肩を震わせて泣いた。


「それは……あたしが……先生の生徒だから……?」


あたしの想いが、ポツリポツリと言葉になっていく。


「違う……」


「じゃあ……先生に……彼女がいるから……?」


「違う……」


「あたしの事を……恋愛対象として……見れないから……?」


「違う……。そうじゃないっ……!」


上杉先生は、苦しげな言い方をした。


どうして……?


どれも違うのなら、どうしてダメなの……?


戸惑いながら振り向いて、上杉先生の顔を見上げた。


そして、そのまま目を逸らせなくなった。


だって、あたしなんかよりもずっと、上杉先生の方が傷付いた表情をしていたから…。